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 2016年の年末から、2017年正月にかけて五能線の列車旅をした。

先ずは札幌から函館へ、函館からは2016年開業した新幹線で青函トンネルを通過し、青森からは人気の五能線を利用した。

 

 函館の手前の大沼公園からは、真白な駒ケ岳が右に左に見え隠れ。青森に入るとリンゴ園の向こうに雪を抱いた岩木山が旅愁をそそる。

 青森から秋田までは、日本海ギリギリに冬の五能線が走る。日本海が荒れて高波が寄せる時は運休するという。まさに秘境線とも言える。

 

この日は晴れた。千畳敷という最高のロケーションから見る夕日は、日本海に吸い込まれるように落ちて行った。西の空を真っ赤に染めながら・・・。当地の出身である太宰治もこの光景を見たに違いない。思わず物思いにふける一瞬である。

​左の青い路線が五能線で川辺~東能代間。 右は五能線から見る岩木山

​函館~青森間は新幹線

​青森駅にはねぶた像

​車窓から見る景色を見ながらチビリチビリ酒もまた格別

​五能線の旅

​冬の五能線と春の五能線

​五能線で最も景勝地と言われる千畳敷

動画・・・五能線(クリック↓)

 https://www.youtube.com/watch?v=GXG5fbB4BUw

​五能線から見る夕日、静かにゆっくりと日本海に沈んでいく

​   不老ふ死温泉

 昭和47年創業、世界自然遺産・白神山地と日本海に抱かれた
不老ふ死温泉。

 かつて、北前船の風待ち湊として栄えた、歴史ロマン溢れる温泉である。 右の風車は一億数千万円を投下して、使用電力の三分の一をまかなっているらしい。

    ホテルのロビーで行われた津軽三味線演奏

 

     動画・・・津軽ジョンガラ節 

                    https://www.youtube.com/watch?v=E7n3w3jh6SY

     動画・・・弥三郎節

                    https://www.youtube.com/watch?v=NopVPPZ0SrU

​第57幸栄丸は「不老ふ死温泉」の第二代社長であったが、旅館業は次男に譲り、長男と共に漁に出る毎日である。

 

 白神山地のミネラルたっぷりの伏流水が注ぐ、豊穣の海である日本海のこの地は全国トップクラスの漁場であると言われている。

 年間を通じてマグロ、タラやアンコウ、ヤリイカ、タイなども捕り、サザエ、アワビなどが宿の料理として出される。毎朝獲ってくる魚介類、生きが良いのは当たり前、温泉に浸かり、美味しい料理があれば酒もすすむ。まさに至福のひとときである。

​日本海の魚が連日振舞われる

 まるで海と一体化した様な野趣あふれる露天風呂

全国の温泉ファンを魅了してやまない海辺の露天風呂は日本海の大パノラマを眺めながらゆっくりと湯船につかる。誰もが無口になるのである。

  餅 つ き

夢追う古代の海賊

 「水軍」の呼称は江戸時代以降に用いられるようになった表記であり、それ以前の古文書では「海賊」と呼ばれていた。

 

 奥州の戦乱後の平安時代、安倍一族はその子孫が東日流の荒ぶる海を眺めやがて十三湊(青森県五所川原市の十三湖の 辺り)に栄えて安東水軍となる。

 津軽十三湊を本拠に北日本の雄・安東水軍は、唐に工師を派遣して航法や造船技術を習得、卓越した匠達を帰化させ大船を建造し、 この大船で北国の幸を満載して日本全国はもとより、唐・天竺等に交易し巨利を得た。

 安東の富は各地の神等へ寄進され平泉金色堂のまばゆいばかりの威容は安東水軍によって支えられたと言う。
平泉から東日流日本海沿岸(十三湊、鯵ヶ沢湊、深浦湊)に至る道は、まさしく
黄金ロードと言っても過言ではない。

「水軍」として有名なのは安東水軍、丹後水軍、駿河水軍、伊豆水軍、九鬼水軍、村上水軍、島津水軍などがある。

 出光興産創業者の出光佐三をモデルとした百田尚樹作「海賊とよばれた男」((映画上映中)も海賊と呼ばれている。

​ 海賊といえば現代ではアフリカ・ソマリアのアデン湾が有名だが、その昔は北欧を中心としたヴァイキングや、日本を攻めた倭寇も海賊である。

 最近では日本海を騒がす中国、韓国、ロシアとて海賊と言えようか。日本人拉致事件の北朝鮮も誘拐と言う海賊であろう。最近の海賊は潜水艦、空母、ミサイルまで搭載しており国家挙げての海賊行為とも言えよう。 

  一方、他国ばかり避難は出来ない。 歴史的に見ると秀吉の頃、朝鮮出兵で随分手荒な事をしてきている。ありていに言うならば海を渡った海賊である。10年ほど前に韓国を旅した時に、現地の韓国人ガイドがこの辺は当時30万人も住んでいたのに、街全部が秀吉軍に滅ぼされましたと涙ながらに説明された苦い記憶がある。

 

 現在は先進国と言われるヨーロッパ列強は、世界に有無を言わせないばかりの植民地作りに奔走していた。そして日本も中国、ロシア、アジア各国、太平洋の小国まで、戦争と言う名前を借りて略奪の限りを尽くしてきた。国家も国民も忘れてはならないのである。

 海賊、山族、盗賊・・・人間の業と言うのは恐ろしい。

​安東水軍(海賊)は東北青森一帯

安東水軍の屋敷図

連日海の幸、たまにはお茶漬けが恋しい!!

​ 朝食にも海の幸がワンサカ

五能線 ウエスパ椿山駅 周辺

​日本海の景観

​ 三連泊は御馳走ずくめ、幸せ~

​     五能線は津軽三味線演奏のサービス付き

津軽三味線演奏

 五能線車内にてボランティアによる演奏が行われた。津軽じょんから節と弥三郎節(民謡入り)の2曲。

 津軽の大地に響き渡るがごとくの迫力で、車内の乗客は聞き惚れていた。車窓から眺める景色を見ているとこの上ない風情が感じられる。

       動画・・・五能線で演奏された津軽三味線

​        https://www.youtube.com/watch?v=I4PtWJnotWc

   動画・・・五能線「津軽民謡五能

        https://www.youtube.com/watch?v=YKenupWhP0o   

 旅を終えて・・・

 

 五能線の旅はいつ来ても素晴らしい。鉄道旅でトップクラスの人気路線と言われるのも頷ける。

 

 季節はいつの時季でも良い。春は弘前あたりのリンゴの花が綺麗だ。夏は日本海の青い空と海、白い波がこれまた素晴らしい。秋は当然燃える様な紅葉だ。そして冬は日本海の荒波が怖いほど目に飛び込んでくる。

 不老ふ死温泉に惹かれて三度も来た。日本の秘湯というテレビ番組でいつも上位を占める露天風呂がすこぶる良い。湯に浸かり目を日本海に転じると同じ目線に荒波が押し寄せてくる。

 その荒波を避けるかのように、岩かげに鴛鴦が30羽ほど波に浮いて羽を休めている。いくら見ていても飽きない光景である。

 

 ここは混浴だ。バスタオルを巻いた女性は、勇気が恥ずかしさを超越したのであろう。

 多くのカップルやそうでない人も茫然とひたすら海原を眺めている。申し合わせたように皆寡黙である。

 そしてこの時は皆が詩人になっているようだ。素直な気持ちになって・・・

 

 浮世の喜怒哀楽を想い出す時、日本海の荒波で心を洗い、名湯に浸かり、しっかりと明日の英気をいただいて帰るのであろう。 名湯である。   

                                           おわり

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